F玩具店(東京都)

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最終更新:2022年5月11日

2009年の暮れ。買い物をするためにとある駅で降り立った。その駅は20年ほど前(※2009年当時の話だぜ)に高架化された比較的綺麗な駅だったが、それに合わせた再開発はあまり行われずに古ぼけた都内の私鉄駅前という風情を残していた。

「そういえば、駅前におもちゃ屋があったな」

2009年当時としても珍しく、駅前に堂々とおもちゃ屋が残っている。ふと、小さい頃に見ていたインターネット・コンテンツで古いおもちゃ屋を巡って思わぬ発掘をする話を思い出した。
「プラレールはあるかな」そう思い、帰り際にちょっと覗いてみる。さすが駅前というだけあって、親子連れが何組か見られた。 こういった古い店は少し入りづらいものだけど、繁盛してる店なら話は別だ。
その店はザ・おもちゃ屋といった佇まいで、店の入り口にはカラフルなボールがネットに入れられて葡萄のごとく吊り下がっていた。正面には車や船のプラモ。プラレールは入り口に向かって右手の奥に陳列されている。
ラインナップは当時の現行品ばかり。当然と言えば当然だ。そもそも都内のおもちゃ屋なんてたかが知れている。目ぼしいものは10年ほど前にプラレール・ハンターが悉く狩り尽くしているはずだ。
絶版品は一つもないみたいだな... そう思いながらまだ持っていなかった製品を眺めていると、棚の奥に転がる水色の箱が見えた。
手を伸ばして取り出してみると、懐かしい箱が現れた。


7代目箱のE2北陸新幹線だった。現行品に混じって一つだけ、まるで13年間買い手を待ち続けていたかのように、薄く埃を被った状態で置いてあった。
あわよくば旧動力の製品を見つけたかったところだが、絶版品には変わりない。2002年の新幹線一斉リニューアルから7年、これからもっと新品を入手することが難しくなるであろう箱。
いま買っておかないと後悔しそうだな。そう感じて迷わず購入した。

後年、その駅周辺の再開発がいよいよ始まり、F玩具店も立ち退くこととなった。駅から少し離れたところに仮設店舗を構えて営業を続けていたが、気がついたら閉店していた。
結局、一度お世話になっただけだったな。あの日フラッと立ち寄ったお店があった場所にはドデカい商業施設が建っている。
些細な収穫ではあったが、遅咲きのプラレールハンターとしては十分な結果だ。もうすぐで2010年。来年は一発ドカンと大物を釣り上げたいな。


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F玩具店(東京都)