☎︎「ジリリリリリリリリリン!!!!!!!!!! ジリリリリリリリリリン!!!!!!!!!! ジリリリリリリリリリン!!!!!!!!!! ジリリリリリリリ」
ガチャ
「もしもし?」
「館長か?今日なんだが...」
「分かっている。東武8000型の発売記念祝賀会だろ?」
「話が早い。可及的速やかに神田に来られたし」
「了解した」
リアルクラス113系湘南色・横須賀色の興奮もさめやらぬ、2025年7月18日。東京は神田の居酒屋に古今東西十数名のプラレーラーが集まった。中には静岡や名古屋から来た人もいるとか...
席に着くなり、ビールより先に東武8000型がお目見えした。おお、これが、これが令和のプラレールだと言うのか...!
「いいですか?開けますよ?」誰かの一声により、開封の儀が執り行われた。徐々に、徐々に、白い車体が箱から取り出されていく。
箱から、そして梱包材から取り出されたその姿は、正しく東武8000系であった。商品名は何故か「型」となっているがここは鉄オタ仕草で行かせていただきたい。
みなまじまじと見ていた矢先、誰かが「アッ!」と声を荒げた。
「こやつめ!乗務員扉の高さが間違っているではないか!プラレールショップに展示されていた試作品では正規の造型をしていたというのになんたる愚行!こんなやつにはこうだ!」
などと叫び散らかし、ビールジョッキに8000系を沈めてセイジクリーム色に染めてやろうと画策する。とりあえずこの場は当人をボコボコにする事で収まった。
「グォォ...乗務員扉...」とも聞き取れる呻き声を横目に、ビールで乾杯だ。ボコボコにされた当人はビールをグビッといくとたちまち回復し、造型怪獣デフォルメラに変身してしまった。
「チッ、なんだい。俺が日比谷線13000系から作った8000系は用済みってことかい」
某氏が取り出した改造車の8000系は製品を見るなり大変なショックを受けたようで、前面にヒビが入ってしまっていた。
ジョッキじゃ物足りねえ!ピッチャーだピッチャー!
えー、ピッチャー変わりまして、キリンラガー、赤星...
車両を手に取り、あーでもないこーでもない...
「乗務員扉を直すとしたらだなぁ」「いやいや俺はツートンカラーに塗って越生線だね」「何を言うかバカ者、編成を伸ばして東上線に決まっとろうが」「俺は850型にしちゃうもんね」「おい誰かCADで旧顔作ってくれねえか」
こうして数時間に及ぶ宴会が幕を閉じ、そろそろ解散しようかと言った矢先のことであった。
あ。
中央線で発生した人身事故により、大多数の参加者が帰る手段を失ってしまったため、神田から新宿まで3時間ほどかけてゾロゾロと酔っ払い行進をして終了した。新宿の空はほんのり青かった。