カタログ箱写真レイアウト再現撮影会

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公開:2022年11月24日
最終更新:2022年11月24日

「カタログや箱写真のレイアウトを組んでみたい」というのは、プラレールをやっている人はよく思うであろう願望の一つ。 しかし当然あのような写真はスタジオを借りて組んでいるので、卓上レイアウトが基本な公民館などの運転会会場や、全線再現をするような大ホールではなかなかやる機会がありません。
そこで某氏が「じゃあ借りてやるか」と企画し、都内某スタジオを借りて2日間かけてやってみる事になりました。

今回再現するのは1970年から1984年頃までのカタログレイアウト、パノラマ写真用とレイアウトプランを12種程度。事前に作りたいものを決定し、写真を元に再現していきます。

まず再現したのはこちら「ニューでんしゃセット」の箱写真。かなりシンプルなレイアウトですが、レア情景であるハウスブロックの数が足りるかどうかが不安でした。

足りました。というか足りすぎて余りました。箱写真通りに配置するのが難しく、ハエタタキも1個足りませんが、箱の写真にかなり近づけられた印象です。

俯瞰するとこんな感じ。おそらく箱写真を撮影した当時もこのように撮影したのでしょうね。ここからレイアウトを発展させてみるのも面白いかもしれないです。

次に再現したのは1980年代のカタログレイアウト。急に複雑になりました。製品で組んでるのになぜか破綻してる箇所が複数あり、作成中にカタログと睨めっこして独自の解釈を盛り込むことで対処しました。
地上線の複線区間にはエレクトロふみきりが組み込まれていたり、高架線のバイパスのような区間を通ると来た道を逆走してうなど、あくまでもプラレールの世界観を演出するためのレイアウトであることが分かります。

上の写真で6両編成の0系が走っている区間、地上にある分岐を跨ぐ1/2直線分のスパンの箇所ですが、写真通りに組むと凸凸ジョイントが向かい合ってしまいます。
しかし写真を見ると支えている橋脚は一つ。生じた隙間からしてジョイントレールが入るのが正しいと思われるのですが、本当にこれでいいのか...?という空気が漂いました。

ジョイントレールを入れてみると、レールの接続部ではなく直線レールのジョイント先端の僅かな部分を橋脚1つで支えるというなかなかシビアな繋げ方となり、カタログではこの上に車両を置くことでこの危ない見た目を誤魔化しているという結論に至りました。
走らせるには少し怖いレイアウトです。

続いて再現したのは1982年のカタログ表紙写真。「東北上越新幹線」や「エレクトロ踏切」などの当時の新製品が目立つレイアウトになっています。
手前の駅に併設された操車場の端にホッパー車が留置されているのが絶妙にリアルです。

次は1975年カタログの裏表紙パノラマ。横に長いレイアウトになりました。上が再現で下が実際のカタログの写真です。
一見簡単に再現できるように見えて、プレートガーダーや黄色いED70、赤い洗車場などといった強レア製品が入っているのがポイントです。

続いて1981年のカタログ裏表紙写真。奥の高架線を走るD51の貨物列車はよく見ると「カーコンテナ車」と「カートランスポート」の新旧車運車を連結しているという渋い編成です。

白背景のスタジオで撮っているので写真は綺麗な仕上がりですが、カメラを構えている足元はこんな感じでとっ散らかってます。 何気なく撮った写真ですが、よく見るとレアもの揃い。

カタログレイアウト写真の次は、カタログに載っているレイアウトプランを再現していきます。まずは1980年代初頭のカタログに載っていた高架線と地上線の小ぶりなレイアウトを作成。 「ニューてんてつき」を使った分岐線が特徴的です。

上から見るとこんな感じ。斜め配置が目立ちますね。地上線は一度通るともう通れない区間があり、実用性より見た目を重要とするこの時代のレイアウト案らしいです。

細長いエンドレスを複線ポイントで横に繋げたレイアウト。8の字走行が楽しめるレイアウトですが、よく見ると手前側の信号所のある線が歪んでおり、強引に繋げているところにパワーを感じます。

こちらはEF15のセットのような高架線+地上線レイアウトの発展版。公式レイアウトなんですが、坂やポイントの途中に駅を置くのはどういうセンスなんでしょう...?

8の字ベースのレイアウト。わりとシンプルです。ポイント操作をすることで衝突を避けながら2編成を走らせることができる構造になっています。

少し高密度なレイアウトプラン。高架2線+地上1線の組み合わせです。この時期のレイアウトプランは何故か車庫線に本線を組み込む傾向にあります。

合間に撮ったE2系J66編成と185系C1編成の並び。

続いてはこちら。知る人ぞ知る1977年版カタログのレイアウト案です。高密度で見栄えがいいのはもちろんですが、よく見てください。なぜこの案を再現したかと言うと...

そう!このレイアウト案は「近郊型でんしゃふみきりえきセット」の関西向けロットに入っている「関西色」と通称される赤帯の近郊型でんしゃがサラッと写り込んでいるレイアウトなのです。 当のカタログにはそもそもラインナップとして載っておらず、セットが発掘されるまではコレクターの間で謎扱いされていた曰く付きのレイアウト案です。

この関西色、一応モノホンではあるのですが... 詳しく知りたい方はトップページのどこかにあるセブンセグメントをクリックしてみてください。

上と並行して作ったこちらは1973年のカタログ「プラレールのせかい」の表紙背景にあるレイアウト。 大きな高架線に中心の転車台、築堤を登るちんちんでんしゃ、こうかレールを渡るD-51急行... 夢のようなレイアウトですね。 ちなみに本来転車台の上にいるのはC58なんですが、作成中に出てこなかったのでD51で代用しています。

大変な方をやったので、こんどは簡単な方。1970年カタログの表紙レイアウト、というか車庫のジオラマです。 車両は違えどレールは今と同じ、メルヘンな色使いにこの頃のプラレールでしか味わえない暖かさを感じます。

そして今回の大トリとなるのがこちら。ひぇ〜。これを作るのか... 商品名と写真、子供の姿によって2〜3割はどうなっているのか全く不明という恐ろしいレイアウトに着手です。

とりあえず再現しました。奥行きが長く、スタジオのホリゾントをはみ出てしまう結果に。箱写真を見る限り結構な密度かと思いましたが、実際に組んでみるとスカスカ。圧縮効果で高密度に見せていたみたいです。

上から見ると分岐だらけでウネウネ。実際にこの構造を組み込んだエンドレスレイアウトを組むとなるとかなり難しそうです。 箱写真で子供の姿によって隠れている部分は破綻のない範囲で推測して組んでいます。

実際にこうしていくつかのレイアウトを組んでみると、箱写真とカタログともに遊ぶにはあまり適さない配線や、無理のある繋げ方など、あくまで撮影用のレイアウトであったことが改めて分かりました。 実際に使われていた製品を99%使ったほぼ完全再現となり、企画・参加した方々の尽力に感謝感激雨霰です。
最後に箱写真・カタログ写真では見る事ができない、実際に組んだからこそ撮れるアングルの写真などのオマケを載せます。


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