八ウスブロック

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RELEASE:2022/8/1
LAST UPDATE:2022/8/1


UNDERGROUND-7

HOUSE BLOCK

※読み方は「やうすぶろっく」です。

令和ヒトケタ年代、日々進化するプラレールには続々と新しいものが登場していた。復活した往復プラレール、電池のいらないシャーシ、マスコン操作ができるシャーシ。 新メカの登場で統一された規格により、更に遊びの幅が広がった車両たち。ホームドアが付いた駅、柔軟に組み替えができるようになった跨線橋など、近年の鉄道施設を再現したような全く新しいタイプの情景部品。 しかし、プラレールには圧倒的に足らない情景部品が一つある。

街中の建造物。

そう、建物がないのだ。鉄道に関わる建物は数あれど、鉄道に関わらない建物はプラレールの世界には存在しない。いや、正確に言うと今は存在しないのである。

昭和40年代、日本は高度経済成長を迎えていた。昭和30年代半ばに登場したプラレールは電動化を経て、鉄道情景にも力を入れるようになる。
複線での行き違いが可能な「ふくせんステーション」、線路を跨ぐ歩行者用の「ほどうきょう」、直線2本分の「だいてっきょう」などなど、その発展は目まぐるしいものだった。でも、建物がない。
子供が想像力を働かせれば何にでも化けるのがおもちゃのいいところ。赤い「電動プラ電車」は国電中央線や営団丸ノ内線になり、「ふくせんステーション」は地元の駅にも、新幹線の駅にもになる。
では、建物はどうか。何かしらの建造物をモデルにすると、似た建物が日本全国にあるとはいえ、子供の想像力でも補えないものが出てきてしまう。駅舎などは特にそうだ。小さい駅舎もあれば、駅ビルを併設した大きな駅もある。 それを一つずつ製品化していくのは割りに合わない...そう考えた人がいるのであろう。数と配置さえどうにかなればなんにでもなる建物が1970年代の前半に発売された。
「ハウスブロック」である。30個入りのセット品と、12個入りの単品が発売された。赤い屋根と青い屋根が付属し、ドアと窓を模した開口部を両面に持つ長方形のブロック。積み木の要領で組み上げれば、建物もオブジェも作ることができる。画期的な情景部品だったが...

ほどなくして絶版となってしまった。詳しい考察は省略するとして、簡潔に言うと「結果的に必要がなかった」存在となってしまったのだ。 プラレール遊びの主役はあくまでも鉄道。鉄道に関連しない建造物など、子供にとって特に興味も向かない。ブロック遊びだけならばいいかもしれないが、手元にあるのは手を触れることなく自分で走ってくれる電車のおもちゃ。 どっちを取るかは言うまでもないかもしれない。
そんな事があり、令和の現在ではレアものと化してしまった悲しき情景部品「ハウスブロック」だが、ある時現物を目にした香具師が言った。

「これプラ板で作れませんかね?」

ええそうですよ。作れますとも。

機械で筋を入れ、ノックダウン方式で大量生産。屋根にある突起は1mmプラ棒でOK。簡単な極悪品ですよ。屋根はどうしようもないので、とりあえず屋根だけは現物を使います。

ゴロゴロ。

屋根と右側の一つが製品、左側と真ん中のものがプラ板製のマガイモノです。なかなかそっくりにできています。

しばらくの間はとにかく数を作ることに集中していましたが、先日の運転会でついにレイアウトデビュー。本物のハウスブロックと合わせてレイアウト各所に配置されました。こちらは駅前にある公営住宅風味。

こちらはハウスブロックの作例としてトミーが公式にリリースしていた積み上げプランのうちの一つである積木ロボット。言われないとプラレールの情景部品であるとは思えない滑稽さが人気の作例です。
公式作例より少ない数で組んでいますが、本来だとだいたい作るのに必要なハウスブロックは150個。発売当時にそんなに買ってもらった子供はいるのでしょうか?

ハウスブロックが絶版となってから10年以上後の1985年には同じコンセプトの「ブロックビル」が発売されていますが、これも5年程度で絶版となっています。 ちなみに、2022年2月に発売された「夢中をキミに!プラレールベストセレクションセット」にはたてものブロックなる新たなブロック建築物が情景部品として入っていましたが、発展することはあるのでしょうかね...?


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