クリアつばさを回収せよ!いい旅チャレンジ520km
2024年。プラレールが誕生してから65周年となるアニバーサリーイヤーである。発売元であるタカラトミーもトミー時代から数えて創業100周年を迎え、プラレールファンの間で今までにない記念行事への期待が膨らんでいったりいなかったりした。
2月13日、65周年記念行事の一環としてとあるイベントの開催が発表された。前年にも行われていた「JR東日本 プラレールスタンプラリー」である。首都圏の駅に設置されたスタンプを10駅分集めて回り、指定の駅のコンビニに600円以上の買い物と共にスタンプ用紙を提出する事で記念品と引き換え、さらに抽選で非売品のプラレールが200名に当たる「10駅コース」が用意された。ここまでは昨年と同様であったが、もう一つ冗談だろと言わんばかりのコースが用意されていた。「新幹線コース」である。
東北新幹線 福島駅、長野北陸新幹線 軽井沢駅、上越新幹線 越後湯沢駅の3駅でそれぞれスタンプを押し、駅構内にあるコンビニで前述と同じ条件で記念品と引き換えというものであった。
そしてその記念品というのが、ぬわんと「E3系新幹線つばさ2000番代(連結仕様クリアバージョン)」だった。それもどれかの駅に行けば編成で貰えるわけではない。1両ずつである。そう、この新幹線コースは福島駅・軽井沢駅・越後湯沢駅のそれぞれに先頭車・中間車・後尾車が用意され、全て回らないと編成が揃わないという恐怖のコースなのだ。開催期間は4月5日から6月2日までの約2ヶ月間。
このキャンペーンが発表されると、館長の周囲では「最初の土日で全部回ろう」と意気込む人が現れ、当然のように館長もその流れに組み込まれた。
スタンプラリー初日の4月5日に3両全てを回収するプラレーラーが現れ、在庫状況などを共有。一会計につき一つ、つまりは一人一個の制限つきなのですぐに数を減らすことはないと思われること、そして初日から結構な数の人がスタンプラリーに参加しているとの情報がもたらされた。この情報をくれたのは他でもないザラブ氏だ。朝5時に出発、車で高崎まで行き、高崎〜軽井沢を新幹線で往復、高崎から越後湯沢〜福島は車で移動し、約10時間で3両を揃えたそうだ。さすが外星人である。
4月6日の土曜日の朝、館長の姿は東京駅東北新幹線ホームにあった。ここで同行者やはの兄貴を待つ。
ホームに上がると、ちょうど隣のホームから「あさま」が発車したところだった。同じくクリアつばさを回収しに出かけている銀嶺氏が乗っている。まずは軽井沢から回るそうだ。メフィラス氏も既に6時台の新幹線で出発済みなのを確認している。
売店で弁当を買い店を出ると、エスカレーターを上がってくる見知った3人組、航海長氏・とーかそ氏・イワライナー氏と遭遇した。もちろんクリアつばさを回収しに行く御一行だ。こちらも軽井沢から始めるらしく、次の「あさま」に乗り込み出発していった。
やはの兄貴と合流し、一路福島へ向かう。先頭車から回収し、越後湯沢、軽井沢と回る。このルートを「反時計回りルート」と称し、先に出発した彼らはその逆「時計回りルート」で移動する形となった。つまり、行程上必ずどこかで遭遇する。そして、互いに行程の共有はしていない。神出鬼没プラレーラー南東北甲信越周遊編が始まった。
旅に出ると、心のふるさとが増える。
7時40分発 やまびこ125号 仙台行。まずは福島まで行く。館長初のE5系乗車、そして福島に行くのも初めてとなる。東の新幹線にはなかなか縁のない生活を送ってきたので、かなり新鮮な気持ちである。
行くぞ!
9時10分に福島着。「つばさ」との連結作業や「はやぶさ」の通過を見たり、在来線ホームで狭軌と広軌が並ぶ光景を見たりした。
このあたりでぺこり氏も軽井沢方面に向けて移動しているのを確認。総勢8名のプラレーラーが同じ目的のために動き回ることとなった。
ホームを降りるとスタンプ台があった。ここで福島駅のスタンプを押し、改札外にあるNewDaysに向かう。
第一ミッションクリア。先頭車を入手した。引き換えのために買うものと言えばもちろん、酒である。
スタンプ台の近くに小さなプラレールのレイアウト?が展示されていた。高架線にE5系+E3系、地上線にはE6系、円形のレイアウトに山手線E235系。全く簡素な新幹線と在来線だが、何を表しているのか分かるのが面白い。
これにて初日の回収は終了。中間車と後尾車は翌日に回し、今日はやはの兄貴が乗りたい路線を乗りつぶしして宿に向かうとする。
ちなみに今夜の宿は浦佐にある。上越新幹線の浦佐駅前。現在地は福島です。ハテ?
来た道を少し戻り、郡山へ向かう。9時50分発 やまびこ130号 東京行に乗車し、10時4分に郡山着。
郡山からは10時15分発の磐越西線「快速あいづ1号」会津若松行に乗車し、終点まで乗り通す。
猪苗代湖と磐梯山を車窓に見つつ、会津若松に到着。観光列車「あいづSATONO」のデビュー日とたまたま重なり、駅構内でセレモニーの準備が行われているのを見かけた。郡山発車後に途中駅でSATONOを追い越したが、まさにそれが運行初日の一番列車だったそうだ。
駅前の食堂でソースカツ丼を食べて腹ごしらえをしてから、2022年10月1日に全線の運転が再開された只見線に乗る。
ホームで待っていると列車が入線してきた。キハ110とキハE120の2両編成だ。先頭は首都圏色をまとったキハ110-135。なかなか似合っていて素晴らしい。首都圏から東北にかけて広範囲で活躍しているキハ110だが、プラレールでは「SC-02 ポケモン ウィズユートレイン」で製品化されたのみで既に絶版だ。せっかくバリエーション豊かな車両なのにもったいない気がしてしまう。
13時5分に会津若松を出発。只見線を乗り通し、終点の小出には17時47分の到着。4時間42分の汽車旅だ。
会津桧原〜会津西方間の第一只見川橋梁を通過。ここでは速度を落として景観を楽しむことが出来る。只見線は凄いところを通るんだな。
途中の会津川口駅で小出発の列車と交換待ち。やってきた列車には今朝東京駅で会った3人組が乗っており、ここですれ違った。ホーム上で互いに健闘を祈り、それぞれ駅を後にした。
ちなみに交換した列車には一昔前のプラレールではお馴染みの東北色をまとったキハ110-223が連結されていた。
小出駅に到着。長岡行きの電車を待つ。いつの間に合流したのか、メフィラス氏・銀嶺氏・ぺこり氏が長岡で待機しているそうなので、初日の打ち上げを行うこととした。
長岡駅前の居酒屋に転がり込んで大乾杯。先頭車が2両と中間・後尾車が3両ずつ揃った。ちなみにここでは誰も開封せず、仕舞い込んだらプラレールとは全く関係ない話をして楽しく過ごした。
飲んでいたら乗る予定だった上越線の石打行き最終を逃してしまい、新潟発越後湯沢行のとき480号などというもう二度と乗ることがなさそうな最終列車で浦佐へ向かった。
浦佐に着くと、ホーム上にともさんがいた。「どうせクリアつばさ回収しに行くだろ?」と決めつけて呼び出したのだ。
駅前のホテルに一泊し、翌朝に越後湯沢からスタンプラリーを再開する。長岡で飲んだ3人は「ばんえつ物語」に乗って福島を目指すそうだ。
9時21分発の上越線水上行に乗り越後湯沢へ。「新幹線コース」というだけあってやはり新幹線で移動することを前提としているらしく、スタンプ台は新幹線改札内、引き換えするNewDaysの店舗は改札外にあるという仕掛けだ。
在来線で来た場合は入場券を買って新幹線構内へ入りスタンプを押し、押したら出て改札横のNewDaysに入店、引き換えするという手順を踏まねばならない。なかなかアホらしい気がしたがこれはこれで楽しいのでOK。
越後湯沢のスタンプ台横にはレイアウトが展示されていたが、これがよく見るとなかなか極悪な品揃えであった。
とまぁ、見ての通りである。JRの職員が私物で作ったものだと思われるが、車種のチョイスが渋すぎてかえって素晴らしい。E1系・E2系・E4系、ばんえつ物語は分かるのだが、他は完全に趣味のレベルで置いたのだろう。
さて、後尾車を回収。最終目的地の軽井沢へ向かうとするが、スタコラと向かっても面白みがない。また在来線でゆっくりと移動する。
ちなみにともさんは「さっさと先頭と中間を回収しに行く」と宣言し、再び新幹線の改札の中に入り二度と姿を見せることはなかった。
いやぁすみませんね午前から...
ぽんしゅ館で日本酒を味わったらほくほく線に乗った。十日町に用事があるのだが、まだ時間があるのでなんとなくまつだいまで足を伸ばした。
降りて駅前を軽く散策し、駅に戻って時刻表を見ると反対方向の列車がイベント車両「ゆめぞら」を連結している運用だということが分かり、ちょうどよかったので乗ってみることにした。
来た列車の2両目が「ゆめぞら」だったのでそちらに乗車。快適な転換クロスシートに座ると窓の間に大きなプロジェクターが複数台、上を向いて設置されていた。そして、トンネルに入ると車内の照明が落ち、音楽とともに花火の映像が天井いっぱいに映し出された。
なんだったんだこれ。
十日町で降りたらかわいこちゃんおった。
次に乗る列車はこちら、飯山線の観光列車「おいこっと」だ。十日町13時5分発、終点長野には16時2分着の列車である。いよいよ軽井沢を目指して長野へ向かう。
やはの兄貴ととにかく酒を飲んでいたら長野に着いてしまった。飯山線の車窓は美しかった。さっきまでJR東日本管内をウロウロしていたのに、急にJR東海の車両が出てきて「中部」を感じてしまう。見慣れた車両を見ると安心する。
新幹線で移動してもいいが、ここはしなの鉄道で軽井沢までゆっくり行くとする。115系に乗るのはずいぶんと久しぶりになる。いよいよスタンプラリーのラストスパートだ。
1時間半ほどで終点の軽井沢に到着。EF63を見て「サウンド連結 EF63&あさま」だなぁと思い、駅前に保存されている草軽電鉄の電気機関車を見て変な形してるなぁと感想を抱き、いよいよスタンプラリー新幹線コース最後のスタンプを押す。
無事に中間車を回収、編成をコンプリートした。長い道のりだったがあっさり終了。いよいよ帰路に着く。
陽が沈みかけている軽井沢の駅前を少し散策し、はくたか572号に乗るために駅に入る。
窓口を覗くと、クリアつばさが編成で展示されていた。中間車を配布している駅にだけ編成で置いてあるのがどこか不思議である。
一足先に東京に帰っていた時計回りルートの面々から「神田で飲むぞ」と連絡が入ったので、上野で降りて神田へ向かう。ごく一部のプラレーラー御用達となった神田の某居酒屋に集結、別件(蓮)で金沢に行っていた青流氏も合流しており、終電ギリギリの時間まで打ち上げを行った。もちろんプラレールの話はしなかった。
二日間の移動経路▼
土曜日 東京→福島(先頭車回収)→郡山→会津若松→小出→長岡→浦佐
日曜日 浦佐→越後湯沢(後尾車回収)→まつだい→十日町→長野→軽井沢(中間車回収)→上野→神田
総移動距離、約520kmなり。
それでは、この旅の目的である「E3系新幹線つばさ2000番代(連結仕様クリアバージョン)」の姿をお見せしよう!
3両編成が1両ずつ箱に入れられて配布という例は今回が初めてとなる。プラレール博の景品でも1両ずつ集めて3両編成が組めるものがあるが、そちらは単なる袋入りだ。
箱のフォーマットは他の非売品と同様だが、プラレール65周年記念の配布品かつJR東日本のイベントということで両方のロゴが印刷されているのが特徴的である。
3両それぞれで役割が異なるため、注意書きも違うものが印刷されている。先頭車の箱には通常品と同様の「遊びかた」と「電池の入れかた」を記載、中間車の箱は警告文の他は裏面にも商品名が印刷されているのみ、後尾車の箱には「連結車両の遊びかた」が記載されており、基本的には3両単品に準じている。
通常品のKF品番等同様、1両用の緩衝材で梱包されている。
E3系2000番代の現行塗装のうち、紫の部分はクリアパープル、車体側面の白地を無地のスケルトンとし、黄色い帯と前面の意匠は通常品と同じく塗装で再現されている。
そして各車両にプラレールのロゴと65周年記念のロゴが印刷されているプラレールオリジナル仕様だ。現行品の「S-09 E3系新幹線つばさ2000番代(連結仕様)」をそのままスケルトン化したものなので、中間車のロゴマーク「蔵王の樹氷」「稲穂・りんご」は省略。
連結仕様のクリアボディの醍醐味は、なんと言っても連結機構が車体に乗った状態で見られること。連結器を出すと引っ込んだカバーがクリア部分と塗装部分に隠れ、横から見るとあまり違和感がないのが面白い。
クリアボディの非売品は、基本的にくじ引きの景品や抽選のプレゼント品という形で配布されてきた。今回のようにスタンプラリーの景品として、しかも1両ずつで用意されるのは今までに無い試みだった。来年もスタンプラリーがあるとすれば、どんな景品が用意されるだろうか。車両が景品になるのは今回限りな気がしなくもないが...
1両ずつの写真は
非売品のページに掲載したので、合わせてご覧いただきたい。