小田急3000形

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◀︎第13回
公開:2026年11月2日
最終更新:2026年11月2日

「小田急3000形のプラレールが存在するらしい」という話を耳にしたのはいつのことだったか。少なくとも資料館の開館前に遡ると思う。古今東西、プラレールに関する様々な情報を収集してきた館長だが、小田急3000形については全く聞いたことがなかった。
証言レベルで得られた情報は次の通り。

「小田急のコンテストの入賞景品として配布されたらしい」

これだけである。
造型はどうなっているのか?車体は特注なのか?3両編成なのか?1両のみなのか?電動車なのか?無動力なのか?箱付きなのか?そうではないのか?
その実態は杳として知れなかった。

しかし火のないところに煙は立たぬ。一次情報が必ず存在する。結果として、以下の情報が発掘された。
小田急線開業80周年記念でんしゃデザインコンテスト
【ぼくたち・わたくしたちの「ゆめ列車」】をテーマに、自由な発想で描いた 作品を募集します。応募作品の中から小田急電鉄賞に輝いた作品は、 実際の車両にデザイン。「こんな小田急線が走っていたらいいな」という 、こどもたちのゆめを乗せた列車を運行します。
賞
(1) 小田急電鉄賞(※実際の車両にデザインいたします)/2名
賞状および受賞作品のデザインを施したタカラトミー製の特製プラレール
(2) 優秀賞/8名 賞状および受賞作品のデザインを施したタカラトミー製の特製プラレール
[中略]
※賞品の特製プラレールは展示用のため、走行させることはできません。
2007年7月1日から9月2日にかけて小田急電鉄が開催した、幼児及び小学生を対象とした車両デザインコンテストの賞品。それが小田急3000形プラレールの正体であった。小田急電鉄賞と優勝賞、合わせて10名に配布されたとあり、無動力であることが記されている。
読む限りだと、少なくとも入選者の描いたデザインが施された特注のプラレールが10両存在するということになる。しかし、結局その実態は不明のままであった。仮に10両のみの存在だとすると、わざわざ動力車だけを配布するとは考えづらいので後尾車1両が配布されたのだろうか、といったレベルの推測が立っていたというと程度だ。結果の発表がどこで行われたのか、写真は存在するのか、それすらも分からないままだ。
なお、「小田急電鉄賞」に入選したデザインは8両編成の3661F(のちに中間2両を組み込み、現在の3085F)に施され、ぼくたち・わたしたちの「ゆめの列車」として2007年11月18日から2008年3月31日まで運行されている。

時は流れ、2026年。突如として当時の入選告知が載った紙面が発見された。小田急の広報誌「おだきゅう」の2007年12月号に掲載されていたのだ。そこには、当のプラレールを手に持って記念撮影をしている子供の写真が載せられていた。
モノは3両編成、レールの上に乗り、固定された状態でケースに入れられていることが判明した。時を同じくして、当時入選してプラレールを贈られてきたという方が現れ、小田急3000形のプラレールが改めて世に公開されることとなった。
プラレール資料館で掲載する許可を頂けたので、詳しく紹介する。

これがその小田急3000形のプラレールである。デザインは個人情報に繋がってしまうため隠してあるが、全体像は掴めるだろう。209系の車体をベースとし、2ドアにデフォルメされた側面ステッカーが貼られている。
編成は3両連結の無動力。レールは台座に固定されており、車両の台車とレールもネジ留めされている。

1両目。日車ブロック工法特有の側面構造をイラストで忠実に再現。クーラーキセも銀色に塗装されている。


2両目。レールと車両下にそれぞれ固定具が見える。サウンド車がベースのようだが通常の台車を履いていると見られ、メス型連結器は通常仕様。


3両目。連結器以外は1両目と同一の構造のようだ。


それぞれの屋根。種車通りだ。パンタグラフは無塗装。


注目の前面パーツ。タカラトミーお手製のようで、塗装も手塗りのようである。行き先表示、車番のステッカーは製品のものより厚めの紙が使われているように見える。


先頭車前面。ワイパー、手すり、下部のステップ、スカート周りの造型も見事。編成は3651Fに指定されており、実際にラッピングが施された3661Fではない。制作時点では対象の編成が決まっていなかったのだろうか。


後尾車。前照灯と尾灯のシールはしっかり作り分けられている。


中間車の幌部分には加工したような跡が見られるが、詳細不明。

小田急の通勤車のプラレールは2000形・2600形・5000形・8000形・9000形と比較的豊富に発売されているが、このコンテスト賞品として作られた3000形が一般の仕様として発売されることはなかった。
鉄道会社が主催したコンテストの景品として特製のプラレールが作られたのもこの時限りである。

長らく謎とされてきた小田急3000形のプラレール。その姿をこうしてプラレール資料館で紹介できることを喜ばしく思います。写真を提供して頂いた某氏にこの場を借りて感謝いたします。ありがとうございました。


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