上下箱①

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最終更新:2024年9月18日

箱について

「プラレール」というブランド名が制定される前の1959年から、制定後の1967年頃まで使用されたタイプの箱が、この「上下箱①」です。まだデザインが確立しておらず、製品によってまちまちなのがこの世代の特徴です。統一デザインが決まるまで試行錯誤をしていたのが窺えます。
プラレールブランド制定前のシリーズ名は便宜上「プラスチック汽車レールセット」と呼ばれており、それを略した「プラ汽車セット」が一番最初の車両単品の商品名として採用されました。あらゆる媒体で「プラ汽車セットの発売は1959年」とされ、セット品と単品の発売が同時であったかのように言われているので当館でもこの説を踏襲していますが、実は単品の発売時期を裏付ける資料はまだ見つかっていません。
今でいうオールインワンセットである「プラスチック汽車レールセット」は株式会社トミーの旧社名であるとみやま商事株式会社から発売された製品ですが、現在確認されている単品「プラ汽車セット」にはとみやま商事時代に発売された個体が見つかっておらず、社名変更が行われた1963年に「プラスチック夢の超特急」の発売と合わせる形で初めて単品化されたものではないかと推測しています。
「電動プラ汽車」も旧社名時代の1961年に登場したものとされますが、よく考えてみるととみやま商事と印刷されたものは単品・セット品共に見つかっていません。発売年の情報が正しければセット品にはとみやま商事時代ものがあると思われますが、車両単品は「プラ汽車」「夢の超特急」と同時の1963年に発売されたものかもしれません。このあたりは調査が必要です。
「プラ汽車セット」「プラスチック夢の超特急」はイラストを用いたデザインとなり、前者は架空のものと思われるタンク機関車の貨物列車が、後者には新幹線の試験車両1000形A編成が描かれています。実際の1000形A編成は2両編成ですが、イラストでは長編成にアレンジされています。
1964年には同年10月の東海道新幹線開業に合わせ、「電動超特急ひかり号セット」が発売されました。タカラトミーの公式媒体ではよく「プラ電動超特急ひかり号セット」と書かれることがありますが、これはあくまで表記揺れが激しい当時特有のカタログにおける表記であり、正式な商品名は箱の通りです。これについては今後間違えないでいただきたいです。夢の超特急ひかり号をアピールするためか、こちらではイラストや製品の写真ではなく、実車の写真が使われています。撮影地は首都高速八重洲線と新幹線の並走が終わるあたり、土橋入口の上です。
1967年には、1965年にセット品で初登場した「電動プラ電車」が単品化。カラフルな3色の電車が並んだ写真が使われています。箱のレイアウトは電動プラ汽車のものを踏襲していますが、商品名と写真の間にアクセントとして白いラインが入れられています。
「ゆうえんちシリーズ」の車両単品は実車系車両とは異なり、窓が付いて中身が見えるものになっています。商品名は上に配置され、白地に赤いラインというシンプルなものです。
また、プラレールシリーズではないもののプラレールのカタログに掲載されている「電動ハイウェイバス」は、同じシステムの電動玩具であることをアピールするためか、プラレールとほぼ同じデザインの箱になっています。

車両ついて

プラレールは当初、カラフルな色をした架空の小ぶりな列車のおもちゃでした。動力は無く手転がしで遊ぶものでしたが、1961年の「電動プラ汽車」にて初めて電動車が登場。この時点で「1編成3両」というプラレールの基本となる形態が確立しました。
「電動プラ汽車」は南満州鉄道のダブサ型をモデルとした架空の機関車... ではなく、ドイツ国鉄の61形蒸気機関車がモデルとなっています。更に言うと、ドイツの鉄道模型メーカー「フライシュマン」が製造していた61形のショーティーHOゲージモデルが元ネタとなっています。つまり、そもそもオリジナルデザインでもなければトミーのオジリナルですらありません。海外製品の模倣で発展してきた昭和30年代の日本の製品はプラレールも例外ではないという、産業の歴史が垣間見える逸品です。
幸い、当時の日本には世界に誇る高速鉄道、弾丸列車もとい新幹線が生まれようとしており、完全に日本独自かつ先進的な外観をした新幹線電車を製品化したことで、これが大ヒットを記録。以後は実在の鉄道をモデルとしたおもちゃとして発展していくようになります。
「プラスチック夢の超特急」は試験車両1000形A編成が基になっており、実写は2両編成ですがプラレールでは4両編成とされています。当時は塗装技術が未熟だっために成型色のみで車両を表現することとなり、赤いシャーシに白いボディという外観になりました。これは同色の樹脂が安価だったからとも、試験車登場前の塗装案の方を再現したとも言われています。塗装ができないので造型でデザイン面をカバーしており、シャーシが先頭部から後尾にかけて一段盛り上がっているのはA編成の帯を表現したものだと思われます。
「電動超特急ひかり号セット」では少し実車に近づいた造型となりましたが、それでもモデルは1000形のまま。こちらはB編成がモデルと思われますが、先頭・後尾で同じ設計の車体を使っているため、B編成の特徴である前後で異なる運転台窓の差は再現されませんでした。
国鉄101系・103系をモデルとした「電動プラ電車」は、箱写真に写っている「黄色」「緑色」「赤色」の基本3色に加え、後年の生産で非常に流通数が少ない「水色」の計4色がラインナップされました。金型が短期間のうちに何度か改修されており、①3両全部に動力車用の固定フックが付いていてドア窓が一箇所だけ異様に細長いもの、②先頭車後部の台車固定用の穴が無くなりドア窓のサイズが均一になったもの、③動力車ボディのフックが下に突き出る形となりドア窓が四角く改修されたものの3種類があります。このうちの③の形態が現在まで続く新動力車両に受け継がれています。
動力も試行錯誤が繰り返されているのがこの世代の特徴とも言え、「電動超特急ひかり号」「電動プラ電車」には一般的に旧動力と言われる先頭下部にスイッチがあるものと、現在の新メカ車とほぼ同じ位置にスイッチ穴がある屋根上スイッチのものがあります。最終的には前者のものに落ち着き、1987年の新動力化まで使われることとなりました。

旧紹介文(2020年8月12日〜2024年7月23日)
1959年に発売された「プラ汽車セット」を祖とする最初期の車両単品の箱。「プラレール」の名前が登場する前のものです。 製品写真・実車写真とまちまちなところにパッケージの試行錯誤をしていた様子が伺えますね。
プラレールブランド登場後の1970年に新たな箱が登場しましたが、それ以降も「電動プラ電車セット」が1974年まで発売されていました。 「電動プラ電車セット」は4色とも箱が共通なため、箱の端に何色が入ってるかを示すステッカーが貼られているものがあります。 また「電動プラ電車」と「電動超特急ひかり号」には製造時期によって、屋根スイッチ・ボディマウントカプラーを採用しているタイプが存在します。
「プラ汽車セット」「プラスチック夢の超特急」「電動プラ汽車セット(赤)」は未収蔵です。 また、この世代に電動プラ汽車セットの貨車の単品売りがあったとのウワサがありますが、未確認です。
[2022年2月17日 追記]
プラレール史上最高レベルの大珍品「電動ハイウェイバス」の箱付きのものを収蔵いたしました!おそらく箱付きのものは国内に数点しか残っていないものと思われます。
プラレールブランド制定前後の製品なので、機構はプラレールと全く同じでも箱のデザインが独自のものとなっています。収蔵にあたりご協力して頂いたなすさんにはこの場を借りて感謝いたします。ありがとうございました!
[2023年2月14日 追記]
「電動プラ電車セット」の箱の前面には「株式会社トミー」と印刷されていますが、一部個体でトミーの上に「株式会社セイワ」とステッカーで表記されているものが見つかっています。
この株式会社セイワについては調べても全く情報が出てこないのですが、電動車の安定性を高めるために電動玩具か金属玩具を製造していた会社と技術提携をしていたのではないでしょうか。株式会社セイワについて何かご存知の方がいらっしゃいましたら、ご連絡お待ちしてます。
[2023年11月17日 追記]
箱に「新」のステッカーが貼られている電動プラ電車セットの緑と黄を収蔵しました。どうやら屋根スイッチの後期品に「新」が貼られているらしく、この個体ではスイッチの挙動が少し異なっています。スイッチを前に倒すと停止・後ろに倒すと走るという、初代の屋根スイッチや新動力・新メカのものとは違う動きをします。
屋根スイッチ前期→屋根スイッチ後期→前スイッチと変遷しており、屋根スイッチ後期にのみ「新」が冠されていると見てよさそうです。
従来より展示していた「緑」は前スイッチのもので、よく見ると客用扉窓が角ばっているなど、金型が更新されている最も後期のものです。「新」の後のタイプになります。ややこしいですね。
[2024年4月1日 追記]
ついに!ついに「プラ汽車セット」「プラスチック夢の超特急」を同時に収蔵しました!プラレールを語る上では避けて通れない「手転がし」の車両です。
箱は実車や現物の写真ではなく、セット内容に準じたものイラストが描かれたものとなっています。「プラスチック夢の超特急」のイラストは東海道新幹線開業前の実験線「鴨宮モデル線」で試験走行をしていた1000形A編成です。実車は2両編成ですが、プラレールでは4両編成とされたためか長編成の姿で描かれています。しかし発売時にはもう0系量産車が登場していたはずなので、なぜ試験車がイラストに採用されたのか理由がいちまいち見当つきません。担当者があえて選んだのかもしれませんね。
実は車両自体もA編成をモデルとしており、よく見るとシャーシが先頭部から後尾にかけて盛り上がっているのが見えると思います。これはA編成の塗装である車体裾にある細い帯をシャーシで表現したものだと考えられます。

通常品

プラ汽車セット
プラスチック夢の超特急
電動プラ汽車セット(黒)
電動超特急ひかり号セット
新電動超特急ひかり号セット
新電動プラ電車セット(緑)
電動プラ電車セット(緑)
電動プラ電車セット(赤)
新電動プラ電車セット(赤)
電動プラ電車セット(青)
電動プラ電車セット(黄)
新電動プラ電車セット(黄)

ゆうえんちシリーズ

通常のシリーズとは別に、1960年代に展開していたシリーズがこの「ゆうえんちシリーズ」です。人形を搭載した「じどうしゃ」を牽引する「ゆうえんちセット」と、その発展版でモーターボックスに内臓したホイッスルを空気圧で鳴らして走る「ピッポートレーン」の二種類がありました。
セット品もありますが、そちらは通常の「ゆうえんちセット」の車両のみで展開されていたようです。
ゆうえんちセット

ゆうえんちセット ピッポートレーン

その他

電動ハイウェイバス

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