プラ汽車時代・旧動力時代最初期(1958〜1970年頃)

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最終更新:2023年11月5日

プラレールとしての誕生は1959年ですが、前年1958年にプラレールと同様のレールを使った「ハイウェーセット」が発売されています。
プラレール誕生までの詳しい経緯はブログの「プラレールの起源が判明したお話」をご覧ください。
セット品最初のページは、手転がしの時代から、1965年のプラレールブランド命名を経て、車両ラインナップ見直しの1970年頃までの製品をまとめて紹介します。
発売開始から1964年頃までは無地の箱にラベルを貼ったものとフルカラー印刷の箱が混在しており、試行錯誤を繰り返していた事が伺えます。

ハイウェーセット(1958年)
日本が製造を担当していた米国プレイスクール社の鉄道玩具のレールに、同じく製造を担当していた米国ジャック・ビルド社の木製自動車を組み合わせた製品。 プラレールの祖先とも言われるこのセットですが、本当に祖先とするのか、開発過程で生まれた産物とするのかはつい最近意見が分かれるようになりました。 一部車両の裏面に1961年の刻印が確認されている事から、しばらくの間はプラスチック汽車と並行して発売されていたようです。
ラベルは写真ではなく、イラストになっています。

電動プラ汽車レールセット(1963年)
おそらくこちらこそが電動車初のセット品。気合の入ったフルカラー印刷の箱が目を引きます。坂レール(電動用橋レール)を使って8の字のレイアウトを組むという、後年の「ちょうとっきゅうひかりごう ニューセット」に近いレイアウトです。 電動プラ汽車は赤色、貨車は赤い台車に緑の車体を持つカラーバリエーション品です。ちなみに、このカラーバリエーションの貨車の単品売りがあったという未確認の噂が存在しています。
情景部品はシンプルにハエタタキと勾配標と踏切警標ですが、なんと成型色が白色!後年の製品を見ると分かるように、基本的に標識の類は水色成型なので、この白い標識はが付くレア品です。箱のイラストに「電燈」が描かれていますがセットには入っておらず、もしかするとランダム封入だったのかもしれません。

電池で走る プラ汽車レールセット(1963年)
電動車初のセット品。電動プラ汽車のセットの一つ。カラー印刷ではない簡素な箱が黎明期を思わせます。
「電動」ではなく「電池で走る」と書かれているのが特徴です。機関車と貨車の組み合わせはランダムのようで、黒の個体が有名ですがこちらは赤の個体です。
貨車も黄色い車体に黒いシャーシとなっています。情景部品にかなり早期に消えた電燈がある事に注目。

[2023年9月8日 追記]
「電動車初の」なんて書いてしまいましたが、トミーのロゴがバンザイマーク制定前の「クマさんマーク」のものでフルカラー印刷の箱である「電動プラ汽車レールセット」が見つかり、こちらの「電池で走る プラ汽車レールセット」はバンザイマークを使っている事からそれよりも後の製品だと判明しました。訂正いたします。

プラ汽車レールセット(1964年頃)
オレンジ一色の箱にフルカラー写真ラベルという、過渡期の箱で発売された「プラスチック汽車」のセット。Y型レールを使って島式のホームを組み、橋レールで高架線を通るというこの頃の製品としてはスタンダードなレイアウトです。

電動プラ汽車セット NO.1(1965年頃)
「電池で走る プラ汽車レールセット」の模様替え版。電燈、ハエタタキ、勾配標が無くされた代わりに、遮断機と信号機、立木が付属するようになりました。また、上のプラスチック汽車のセット同様、内箱の車両を収納する場所に仕切りが設けられています。

電動超特急ひかり号セットNO.2(1965年頃)
1964年の東海道新幹線開業に際して発売された電動版ひかり号のセット。そのNO.2。プラレールブランド登場前後の製品です。 1964年当時はまだ無地箱にラベルの時代でしたが、このセットでは既にカラー印刷となっているため、1965年頃の発売と推定しました。
この頃はまだジョイントレールが「継手」と呼ばれていた事が分かります。レールや情景部品の画は写真を元にしたイラストのようです。
[2021/08/11 追記]
なべたさんに中身が残っている個体の写真を提供頂いたので掲載しました。 ひかり号の連結器が金属製で、電動用橋レールではなく大橋レールが入っていることから「でんどうちょうとっきゅうひかりごうセットNO.2」が発売される直前の1967年頃に生産された個体だと考えられます。

電動プラレールデラックスセット(1965年頃)
1960年代のセット品の中では最高級品となる、その名の通りデラックスなセットです。電動超特急ひかり号電動プラ電車の2本が入り、Y型レールに電動用橋レール、信号機と遮断機、そして松の木も2本付属し、そしてなんて「パノラマトンネル」まで付属するというとんでもない内容になっています。パノラマトンネルはトンネルのページに掲載していますので、合わせてご覧ください。
発売年には諸説あり、プラレールのすべて3では1964年、「プラレール」の文字が入っているのでブランド名制定と同時期の発売だとして1965年、電動プラ電車の通説発売年をとって1967年と3つの説がありますが、当館では「プラレール」の文字が入っているところから1965年頃の発売と推定しています。
箱のサイズは見ての通り他のセット品と比べても超大型。縦約45cm × 横約65cmあります。これほどのサイズとなると箱全面に印刷できる環境はトミーにも無かったと思われ、赤い箱にラベルを貼る以前の形態に戻っています。
電動超特急ひかり号は前スイッチ・金属連結器の初期製品ですが、驚くことに電動プラ電車は屋根スイッチの金属連結器となっています。ちなみに動輪は双方とも電動プラ汽車と同じ金属製です。箱のラベルには他に黄色と緑色の電動プラ電車が写っていますが、これらは屋根スイッチのものは存在していてもプラスチック連結器を装備しているタイプしか発見されていないため、写っているのは試作品だと考えられます。そのため、金属連結器のものはこのセットの「赤」が唯一のものだと思われます。つまり「電動プラ電車」はこのセットでデビューし、少し間を置いて1967年に単品化されたものだと考えると既存の文献とも辻褄が合い、自然です。

電動プラレール電車セットNO.1(1967年)
1967年に発売された電動プラ電車のセット品のNO.1。レイアウトはスタンダードなエンドレスです。箱の車庫が最初期品の水色になっているところに注目。
箱のパノラマ写真は十字クロスレールが含まれていた「レイアウト部品」の発売前らしく、上のひかり号NO.2セットと比べると密度は増していますが、1968年以降のセットと比べるとまだまだ簡素なレイアウト構成になっているのが分かります。

[2024/04/05 追記]
箱のパノラマ写真は十字クロスレールが含まれていた「レイアウト部品」の発売前らしく」なんて書いてしまいましたが、このセットより前に発売されたと思われる「電動プラレールデラックスセット」の箱写真が十字クロスレールを使ったものだったため、この仮説は成立しなさそうです。1960年代のプラレール、まだまだ研究が必要な分野ですね。

電動プラレール電車セットNO.2(1967年)
電動プラ電車のセット品のNO.2。情景部品やレールが増えたグレードアップ品になります。
翌年発売の「でんどうプラレールでんしゃセットNO.2」と同一の内容ですが、大橋レールではなく電動用橋レールが入っていました。 「電動超特急ひかり号セットNO.2」の箱では「樹木」とだけ言われていた「立木」が、松の木や桜の木の登場により「すぎ」だと設定された模様です。 結局のところ松も桜も無くなってしまったので、わざわざ命名されたのに2021年現在では結局「立木」と呼ばれているかわいそうな情景部品です。

ふくせんプラレール(1968年)
複線システムのアピールセット。その名もズバリ「ふくせんプラレール」です。「セット」を付けないところや、車両の名前すら入れないあたりからトミーの自信満々感が伝わってきます。
このセットは人気だったようで1970年頃に再生産が行われており、再販版では駅が黄色ホームのものに、ひかり号の金型がいわゆる2代目に変わっています。
こちらは初回生産版です。箱写真にある銀色の架線柱とオレンジの複線橋脚は試作品で、実際には発売されていません。
このセットあたりから中身が厚紙の仕切りから下箱の上にプラスチックの入れ物を被せた容器に変更されています。

でんどうプラレールでんしゃセットNO.1(1968年)
電動プラ電車のNO.1セット。「電動プラレール電車セットNO.1」の箱を更新したものになります。写真のレイアウトを撮り直し、実車(山手線103系)の写真が載っています。箱写真のレイアウト案には緑の電車が使われていますが、セット品の電車は今のところ「赤」以外確認されていません。


でんどうプラレールでんしゃセットNO.2(1968年)
電動プラ電車のNO.2セット。電動用橋レール大橋レールに置き変わった頃の製品ですが、箱の写真は更新が間に合ってないようで、電動用橋レールが使われているレイアウトの写真が載っています。 こちらも入っているのは「電車(赤)」ですね。

でんどうちょうとっきゅうひかりごうセットNO.1(1968年)
こちらはひかり号のNO.1セット。屋根スイッチタイプのものが入っていますね。お値段当時にして定価850円也。今で言うと大体3,000円くらいです。この個体には830円の値札が貼ってあるので、ちょいとお得だったようです。

でんどうちょうとっきゅうひかりごうセットNO.2(1968年)
初代ひかり号が入ったものとしては最後の製品になると思われるセット。セット構成は「でんしゃセット」と同一です。この後、ひかり号の中間車だけ2000年代まで生き残るという数奇な運命を辿る事になります。
[2023年4月27日 追記]
「初代ひかり号が入ったものとしては最後の製品になると思われるセット」なんて書いてしまいましたが、1970年発売の「ちょうとっきゅうひかりごうNO.2」に屋根スイッチの初代ひかり号(初代の中でも後期品)が入っているのを発見。どうやらある時を境にきっかり変わったわけではなく、1968〜70年が生産過渡期であると思われます。

ふくせんプラレールステーションセット(1969年)
「ふくせんプラレール」登場の翌年、1969年に発売された「ふくせんステーションセット」です。こちらはその中でも最も初期のもので、ふくせんステーションのホームが白成型、屋根がクリアレッド成型になっています。
ひかり号の先頭・後尾車が刷新され、今まで新幹線1000形をモデルとしていたものから、ちゃんと0系になりました。生産途中からふくせんステーションのカラーリングが緑ホーム・非透過の赤に変わっています。
「ひかり号」のカラーリングが実車に即したものになった後の1972年に、内容を一部変更して「ふくせんプラレールステーションニューセット」としてリニューアル発売されました。
[2023年11月5日 追記]
箱にSTマークの記載があり、駅の色が単品と同一の個体を収蔵しました。収納容器も黄色に変わっていますね。

ちょうとっきゅうひかりごうNO.1(1970年)
2代目超特急ひかり号のセットのNo.1。付属品を含めて、でんどうプラレールでんしゃセットNO.1と同一のレイアウトです。
カタログ通りならこれ以前に初代ひかり号が入った「でんどうちょうとっきゅうひかりごうセットNO.1」も存在していると思うのですが、存在を確認できず。
[2020年12月7日 追記]
フォロワーさんから「でんどうちょうとっきゅうひかりごうセットNO.1」の存在が確認できたとの情報を頂いたので、未掲載品リストに追加しました。いつか展示したい逸品です。
[2022年1月11日 追記]
「でんどうちょうとっきゅうひかりごうセットNO.1」を収蔵しました!未確認品の存在を確認して収蔵に至るまで約1年、集合知の素晴らしさを再認識しました。

ちょうとっきゅうひかりごうNO.2(1970年)
「でんどうちょうとっきゅうひかりごうセットNO.2」の箱更新版。中身はよほど変わらず。唯一駅の色が異なりますが、これは別に製造時期によって違うというわけでもなく、単なるアソートカラーのようです。
ちょうど車両更新の過渡期だったようで、こちらには屋根スイッチの後期版初代ひかり号が入っています。

ちょうとっきゅうひかりごう ニューセット(1970年)
NO.1、NO.2セットの基本セット系とは別のひかり号のセット。「ニュー」を冠した理由は不明ですが、単純に新しいひかり号のセットという意味でしょう。
2代目ひかり号は1970年内に実車と同様の白地に青帯の姿に変わっているため、このタイプのひかり号で更に1970年発売のセット品というのは非常に珍しく、生産数も少ないと思われます。
レイアウトは大橋レールを使った立体交差で8の字を形成するタイプのようです。
箱写真は上のNO.1セットと同一です。最初期フォーマットの箱で発売されたものとしては最後の製品だと思います。
信号機がステッカータイプになっていますが、中古で出回る際に後年のものを入れたものであり正規品ではない点に注意です。

未掲載品
この世代のセットで以下の製品が存在していると思われますが、出物が極端に少なく、収蔵に至っていません。樹脂の成型技術や箱の印刷技術などが目まぐるしく向上していた期間なので、黎明期の約10年間としてはかなりの数が発売されています。

プラスチック汽車レールセット(青レールのもの)
プラスチック汽車レールセット(水色レールのもの)
プラスチック汽車レールセット(グレーレールのもの)
プラスチック夢の超特急レールセット
電動超特急ひかり号セット
電動超特急ひかり号セットNO.1
電動プラ汽車セットNO.2
電動プラレールデラックスセット
プラレールでんしゃセット

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